12月14日(土)

第6回目の「ワークショップ」が東京で開催されました。

 1月15日、再び「みんなのイシュー」が東京にやってきました。今回も「フェイズ1」での課題出しワークショップが行われた東京・京橋のイトーキ 東京イノベーションセンターSYNQAが会場となりました。関西からやってきたスタッフも2回目となる東京開催からか、すっかり京橋の雰囲気にな れた?様子。お正月気分が抜けきらないのか、参加者の来場も三々五々という感じでに、幾分のんびり、まったりした雰囲気でワークショップがはじまりました。

 

 12月の第5回目のワールドカフェで「フェイズ2」に移行し、具体的なアイディアに対する、技術的検証、プロトタイプづくりが進められていますが、京都、大阪と検証が進められる中、7つのテーマから絞られ、今回は(1)アレルギーセンサー班、(2)味覚プリンタ班、(3)コンタクトレンズ班の3つのチームより、検証の進捗を報告する中間報告をまとめたプレゼンテーションが行われました。

 

 トップバッターは、アレルギーを検知できるセンサーがあったらという発想から生まれた企画を検討しているアレルギーセンサー班です。不確定要素の高い食品や食事から自分にとって危機的なアレルギーを摂取しかねないという問題があって、ここで検討しているのは、非常に時間のかかる検出キットと違って、すぐに検知できるアレルギーセンサーが検討しています。

 

 現在、アレルギーの世界の現状は、日本では1000万人、アメリカでは1500万人規模になっており、命に危険なアレルギーを持つ層も大きく、増加傾向にあります。アレルギーでの死亡例として、直接ではなく、彼が食べたものの由来でキスをした彼女がアナフィラキシーショックで後日死亡するという例があったそうです。現在、競合となる製品はバイオ関連や食品関連の企業が取組んでいるが、コスト、時間、回数ともに制限があり、理想とするものには至っていない。最終的にはコストは5000円ほどに押さえるのが理想です。渉外先として、技術面は京都大学付属病院疫学膠原病内科、 ニーズ面は公益財団法人日本アレルギー協会を選定しており、ニース面について、アレルギーの症状の幅が大きいのが難しいところということがわかっています。

 
 瀧本先生からは、もっとゆっくりじっくり進めてもよいのではないか。コストももっとかかるものでもいいとアドバイスがあり、健康や命にかかわる製品だけに、より慎重な検討を望むアドバイスがありました。ディスカッションでは、「レストランなどで使うのは難しいのでは。原発事故後に放射能を検出するものが出回ったが実際にやっている人は見た事がなかった」と言った意見がでました。発表すたメンバーからは「クリティカルな方向で考えていましたが、もうちょっと手軽なものでもいいかと思いはじめています。肌荒れ程度のものに対応するだけでもいいのかも」とより実現可能性のある方向を模索する姿勢が示されました。
 

 続いての登壇は味覚プリンタ班。3Dプリンタはだれもが知る人気のテクノロジーとなりましたが、次は味覚プリンタがくるのでしょうか?

 

 すでに食品に食べられる素材で絵などを描くフードプリンタというものが存在します。味覚プリンタはこのフードプリンタからアイディアが生まれました。味覚プリンタは味覚センサーで味を抽出し、5つの味の基本要素(甘味・酸味・苦味・塩味・旨味)を濃縮したインクを使い、プリンタを応用し、 寒天シートに味を印刷するもの。味覚センサーは実現可能で、5つの味要素を組み合わせ、計測した成分量データから出力します。

 

 味覚プリンタの強みとしては、味覚データをもとに完璧に味が再現でき、遠隔地であっても再現が可能、さらに大量に同じものが作成できます。ただし、現状では、においや触感など味覚以外の要素が再現できませんし、完全な味の再現も困難という弱みがあります。味覚の再現だけではおいしいものは作れないことを考えると、B to Cでの需要創出は未知数と考えられ、粉末調味料・飲料などのサンプル(試作品)への活用や、味覚プリンタを使った商品開発などB to Bでの活用を模索しています。

 

 最後に登壇したのはコンタクトレンズ班です。コンタクトレンズは視力矯正以外にもコスプレイヤーには必需のカラーコンタクトや、女子が密かに使っている瞳を大きく見せるコンタクトなど、実にさまざまな製品が出ていますが、さらにどんなビジネスが見込めるのでしょう? 意外だったのはコンタ クトレンズそのものではなく、コンタクトレンズの使用を取り巻く問題に着目した「コンタクトレンズの検眼電子処方箋アプリ」でした。

 

 最近、コンタクトレンズのトラブルが増加しているという現状があって、その理由は眼科での定期検診を怠っていたり、レンズの使用ルールを守らない 事によるものが多いようです。特にソフトコンタクトレンズで問題が多く、コンタクトレンズ利用者1500万人のうち8~9割がソフトコンタクトレンズを使用しており、問題は意外に大きいと言えます。トラブルの多くはオンライン購入で、ネット販売の現状では、適正な使用情報の伝達が不十分 だったり、処方箋が面倒な人が個人輸入を行う方向に向かっています。このように眼科に行く面倒を避けたい消費者とトラブルを回避したいメーカーの双方にイシューがあります。

 

 これを解決するものとして検討を進めているのが『検眼・電子処方箋アプリ』です。スマートフォンのカメラで目を撮影して画像を送信し、眼科医が画像をもとに目の状態をチェックし、OKなら電子処方箋を返信、NGなら眼科検診を受けるよう通告するというものです。発行された電子処方箋は、店頭やネットでコンタクトレンスを購入する際に提示できるというものです。ニーズはあるのかという疑問について、精度は低くても検診を促す事ができ るのではないかという考えが提示され、また、規制を動かすのが難しいのではないかという意見も出ました。

 

 いずれのテーマも社会的に意義が感じられるものでしたが、同時に瀧本先生の指摘や、参加者のみなさんからの意見を踏まえると、実現までにはまだまださまざまな解決すべき課題があるようです。最終のピッチコンテストではどのようにまとまっているのか大いに楽しみになってきました。

 

 

執筆/千葉英寿(ジャーナリスト/ライター)

撮影/勝又公仁彦(多摩美術大学)